・「火のみち 上下」乃南アサ/講談社文庫
・「うそうそ」畠中恵/新潮文庫
・「沼地のある森を抜けて」梨木香歩/新潮文庫
・「日暮らし 上中下」宮部みゆき/講談社文庫
・「新ほたる館物語」あさのあつこ/ピュアフル文庫
・「二十四時間」乃南アサ/新潮文庫
・「試験に出るパズル 千葉千波の事件日記」高田崇史/講談社文庫


―だけど、不思議ね。よく、男に生まれたかったって女の子がいうのを聞くけど、私はそんなこと考えたこともなかった。でも、女で良かったとも思わなかった。私は私で、人間。それから、たまたま、性は女。物心ついたときからその条件だったからね。選べるとなったらまた別なのかも知れないけれど。

「沼地のある森を抜けて」 p.261



―訊くけどさ、久美ちゃん、自分って、しっかり、これが自分って、確信できる?普通の人ってそうなの?

「沼地のある森を抜けて」 p.266


けれど、これが人間という生物に生まれて、一通り経る経験のひとつなのなら、若くして死んだ時子叔母にもそういう青春があったわけで、身内としてはほっとする部分もある。生物として問題があるのは、私の方なのかも知れない。

「沼地のある森を抜けて」 p.274


「結局、人がおまんまを食う手段は限られてるってことじゃねえのか。誰でも、自分のできることしかやりたくねえんだよ」

「日暮らし 上」 p.42